2013年4月5日金曜日

40歳 ラガー熊 4

 熊を見かけない日々が続いて、僕は41歳になる年を迎えた。この年末年始も、結局また面倒で日本に行かなかった。
 僕には、嫁も子供いない。寂しさはあるが、煩わしさはない。不便もあるけど、静かで快適な町で暮らせているから、僕には考える時間が沢山できた。 様々な人・物・事から解放されて完全に1人でリラックスできる時間、贅沢なことだと思う。
 部屋に居ても、1日中、上下左右隣室、屋外からの様々なノイズが聞こえていた日本の生活が懐かしい。車、自転車、電車を使わずには生活出来なかった日本の生活が懐かしい。大きなビル、大きな建物、電柱と電線、エアコン室外機、大量の自転車、ツライ花粉症、自動販売機、商品と価格が大量に掲載されているスーパー・量販店のチラシ、明るすぎる照明と大量商品とポップと止まない店内BGMがなり続ける量販店、満員電車、ウォシュレット、24時間営業店、テレビ番組の頻繁なテロップ・・・僕はもう、日本でストレスを抱えず生活することは出来ない気がする。

 僕が忙しかったことや、冬になり寒風・雨天で散歩外出が減ったせいだけど、あれ以後、熊をパッタリ見なくなったから気になってしょうがない。 気になったからといって、探しにいくまでのこともしないのだけど。

 僕は病気のことを伝えなかった。 勝手に、単純な痔であると思い込み『性病じゃないよ』なんて言ってしまった。酷い嘘つきだ。それを、僕は気が付いていて訂正しなかったし、ちゃんとした謝罪もしなかった。

 病気について無知でもケツ穴でセックスって行為は僕でも中学生の頃には知っていたのに。 レンタルビデオ店も大きな本屋はもちろん、エロショップ、風俗皆無のこの町で、PC・スマホ・タブレット、インターネット利用無しで、熊は大人になったのだろうか。いや、この町に限らない、イギリスにはそういう田舎町が沢山ある。

 医者で病気のことを説教された熊は、僕のことをどう思っているのだろうか。最も重要なことを伝えないバカな日本人だと思ってるだろうか。 レイプされた人なのだ。僕は医者以外で彼がレイプされたことを知っている唯一の人。不謹慎だが彼が女性でなくてよかったと思う。

 レイプ、男の性欲が理性で押さえられなかった際の最悪行為なのかも。盗撮、のぞき、痴漢の延長行為なのか。貧困による物取り犯罪ではない。抑制できないほどの性欲があったからからの性犯罪行為なのか。日本のように、様々な風俗店、個室ビデオ、個室ネットカフェ、一般書店やコンビニで誰でも簡単に安価にエロコンテンツが購入でき、男の性欲処理方法が無数にある国でも・・性犯罪はある。

 熊に僕のチンコとケツ穴を見られて触られた。それはセックスではない。ゲイ行為でもない。熊以前に触られたのはいつだったか・・、ああ、あのときか。嫁・愛人・風俗・ゲイサウナ・ゲイの出会いの場・マッサージ・友達・知人・医者・子供・親・・どれでもない関係。腹痛で困ってるだろう人に声をかけただけ。

 熊の酒の飲み方は体に悪い。熊は医者から、痔・性病検査以外にも、飲みすぎで肝臓が・・とか言われてるのだろうか。 お金の使い方、食べ物より酒を優先してしまうのだろうか。心が痛い、心の病気で酒を飲んでるのかもしれない。

 熊はなぜ、僕のチンコとケツ穴でオナニーしたのだろう。熊があんなオナニーをしたのに、僕がさほど驚かなかったのは、熊の嬉しそうな表情があったからだろう。 自分の痛いケツ穴がどうなってるかわからないから、誰かに診てもらいたい・・ってには僕にもわかるのだけども、他人にオマエのチンコとケツ穴見せろ って言えるのはすごいことだ。しかも異国の人にだぞ。僕には言えない。。

 こういうこと悩んだり考えたりするより、他にやるべきことがあるのはわかってる、もっと他に深く悩むべきこともあるのだろう。だけど、同時に複数のことを出来ない僕、相当疲れて飽きるまでやり通さないと、次のこともグダグダになってしまう。大人になってない。

 気分転換に、すぐに実行できる、普段やらないことをやろう。 色々やってみた。思いついた一つは、迷惑メールフォルダを確認すること。 見た。 包茎・出会い・ブログで稼ぎませんか・ED・勃起不全・マルチ商法的内容・・・・。 うーむ。。。 包茎ビジネス系はネット普及前から雑誌広告なんかでよくあったけども、、、改めて考えるといったいなんなのだろう。確かに僕は仮性だけど悩んではいない。割礼をしないヨーロッパには仮性も真正もいっぱいいるのに日本のような包茎ビジネスや広告はない。なぜ日本は? 日本のサイトでED広告をやたら目にするのは、どういうことなんだ。ストレスが溜まりやすい日本人はEDが多いのだろうか。不安を煽るバカな過剰広告が多すぎる、こういうのは規制できないのだろうか。

 気分転換できなかったので、映画を見た。 Harvey(1950)  (amazon jp)という映画。良レビュー通りの素晴らしい映画だった。 セリフの中で一つ、心に留まって色々考えさせられる一言があった。「人生は、とことん賢く生きるか、とことん親切に生きるかよ」 のようなセリフ。僕はあまり映画を見ない人なのだけど、現代、近年、未来を書いた映画作品で、同じセリフを・・・って無理かも。 1950年代、今当たりまえにあるものがなくて、今なくなったものがあった時代。  僕はもう人生の半分を生きた。 今さら、とことん賢くは無理だ。 親切に生きられたら・・、そうできるように心がけよう。 次に熊にあったときも。

2013年4月4日木曜日

40歳 ラガー熊 3


 次にラガー熊に出会ったのは9月の中旬過ぎの午後2時頃。夏シーズンが終わり、観光客を見かけなくなり、ただでさえ少ない店の休業が多くなったころだ。 僕は、昼飯を食って、公衆便所でウンコして、その足でオールド・ハリー・ロックまで片道1時間の散歩トレッキングの途中だった。

 このトレッキングは3回目だ。何も考えずに挑戦して色々学習した。靴・服の装備が出来てない人は、来るべきところじゃないってことだ。道は、滑りやすいところには、木の補強階段があるところもあるが、基本的には天然自然の道。見通しが効かない、枝や草むらをかき分けて進まねばならないところや、デカイ水たまりがグチャグチャの泥沼になってたり、あちこち泥濘で滑りやすいし、海と崖の危険境界に全く柵がない。超自己責任な本当のトレッキング道。
 初回半袖ポロシャツ、短パン、スニーカー、デジカメ、弁当・・・という服装・装備で懲りたから、今回は厚手長袖シャツ・動きやすいジーンズ・ブーツ・ペットボトル水のみだ。 もっとちゃんとした服装を揃えたほうがいいと思うが、僕はそこまで・・だし、金もかかるし。遠いところからココに来て、限られた日程でトレッキングする人ではないのだ。 泥濘・雨・風がなければなんとかなるだろうと、その日は快晴、前日も1日中晴れで泥濘も乾いているだろうという日だったから出かけたのだ。

 シーズン中だった初回と違って、全くと言えるほどトレッキングしている人がいない。人がすれ違うのも困難な細い道だから、前方からこちらへ来る人を見かけたり、後方からペースの早い人が来たら、若干広くなってるところを見つけて、道を譲り、相手が通過するまで待たねばならない。先に譲られたら、相手を待たせずに少し急いで通過するのがマナーな気がするのが嫌なのと、すれ違い時に社交辞令的なお礼英会話が発生しそうなのが面倒なのと、すれ違い前後でこちらの前身・背中までずーっと見られてる気がするのが嫌なのと、大概の人が2人とか複数人で行動してるのに僕は1人の変わり者的な目で見られるのがとか・・・色々理由で、僕は、前方に人影らしきを発見したり、周囲から人の気配を感じたら、『譲られる前に譲る!』を心掛けていたのだが。

 あまりに人がいなすぎで、譲ることもなく、サクサク歩き進めるから全く人の気配がわからなかった。 小便をしたくなったので、何でもない繁みをかき分けて数歩進んだら、そこにラガー熊が居て驚いた。尿意が無かったら出会わなかったのに。偶然なのか、運命なのか。

 熊は全裸で仰向け大の字で酔っ払って寝ていた。草むらにバスタオルを敷いた上で日光浴。腰の横には、それまでチンコを隠していたのが、風か寝返りでズレ落ちただろう雑誌がある。その雑誌は僕にもわかる、アダルトのモロ出し写真満載のフリーペーパーだ。頭上には、シャツとラガーパンツとブーツ、それと飲み干したビール瓶が4本転がっていた。

 トレッキング者を妨げるように寝ていたなら、声かけて起こしただろう。でも、彼は繁みの中で普通ならわからないところだ。屋外全裸モロ出しってのも、ここはビーチリゾートだし、誰にも文句言われず誰もが全裸になれるヌーディストビーチも海岸2つ先にあるところだし。気持ち良さそうに寝ているところを邪魔することもない。ズリ落ちた雑誌もそのままに、偶然の出会いを面白いなぁ と思いながら、僕は目的地へ向かった。

 オールド・ハリー・ロックに到着した。絶景だ。断崖絶壁のスゲー場所なのだ。簡単に即死できる場所だと思う。初めて来たときは、こんな恐ろしい場所に誰でも気軽に来れていいの? 柵が全くないってどゆこと?? と変な汗をかいたものだ。

 そんな凄いところに居るのに、、、さっきの熊のことばかり考えてた。

(酔っ払いだし、足を引きずって歩いてるのを見たけど・・あの軽装でアソコまで歩いてくる体力はある人なんだな)
(大自然で素っ裸って、すごく気持ちいんだよな、 ヌーディストビーチとか、色々思い出すな)
(家から30分程度に、素っ裸でゴロ寝できるところが、今はあるんだな・・いや、やっぱ違法か)
(もし、日本の都会で生活しているオバチャンが発見したらどうだろう、即座にスマホで変質者通報してしまうのか?)
(ずーっと日本の都会で生活していたら、まず、出くわさない光景だよな)
(男が発見したら、僕のように素通りするだろうな。でも、デジカメ・スマホを持ってる人だったら盗撮するのだろうか、勝手にネットにアップロード公開なんぞしちまうのだろうか)
(スマホ・・スマホかぁ。 もし、彼が病気や大怪我していたのを発見したときは・・スマホを持ってれば、こんな山道でもGPSで位置情報付で救急通報を出来るのだろうか? 自分に力や知恵はなくとも、スマホさえ持ってれば命を救えることもある時代なのか)
(僕が彼を気にする理由は・・やっぱり父ちゃんに似ているからだな。 僕にとって生理的に嫌なところがない。 もし、どんな小さなものでもタトゥーがあったり、ピアスや変な色の毛染めをしていたり、ブランド服や高価なデジモノを使いこなしているような人だったら、全く関心を持たなかっただろう。乳首に金属や、チンコにリングも・・熊にはなかったし)
(高価なデジモノ? そうだ、もし、彼がそういうものを持ってる雰囲気なら、財布も何もかも盗まれてしまうだろう、ここは日本ではない。)

怪我? 盗み? 大丈夫なのか、熊。 ネガティブ心配思考になると、すごく不安になってしまう僕。

 僕は、熊の居たところに戻ってきた。さっきと変わらず寝ているか、何事もなく帰宅で居なくなってるのかのどちらかであるように、僕自身の胸騒ぎを鎮めるために。


 そぉっと、繁みをかき分け、覗いてみた。
 いた、熊は居た。
 のだが、何か様子が辺。 両ヒザを付いてケツを突き出した四つん這いで、ウーッ と唸ってる。 本当に動物の熊のようだ。

 「アーユー、オーケィ?」
 僕は自然に聞いてしまったら、熊 オワッ、ワワッ な慌てぶりで、両手でチンコを隠し、目の前に落ちてるエロ雑誌に気が付いて、それをサッと拾い背中の後ろに隠して、また両手でチンコを隠して恥ずかしそうに俯いてしまった。 (こんなデカイ体なのに・・、僕に今さらチンコ隠しても・・なんだけど、そういう人だから僕は興味を引いたのだと思う)
 熊が、こんなところで素っ裸でいることを僕が咎めると思ったようだったので、
「いや、いや、そうじゃない、それは問題ないんだ。 だけど、あなたが何か苦しそうだったので・・、腹が痛いのかい? 何かトラブルかい? (英語)」 と聞いた。
 熊が恥ずかしそうにボソボソ答えた。
「マイ、バム・・・・ 俺の・・ケツ、ケツが、痛くて、痛くて、痒いんだ。日光消毒すれば治るだろうと思って、ケツ穴を太陽に向けてたんだ」
 僕は英語リスニングがすごく苦手なうえ、彼の英語がボソボソ喋りなのと、アクセント?が変なのでわかりにくかったけど、そう、言ってると聞き取った。

 僕は思い出した。父ちゃんも昔、同じことやってた。思い出したら可笑しくなって、僕はニヤッと笑ってしまったようだ。それに気づいた熊が
「なんだ、俺は病気なんだぞっ! 冷やかしか、俺をからかってるなら、どっか行ってくれ、すぐに!」
「ごめん。からかってるんじゃないよ。 笑っちゃったのはごめん。本当にごめん。ただ、以前、僕の父がね、同じことをやっていたんだ。ケツの穴が痛くて痒くて日光にケツの穴を開いててね。」
「お前の父ちゃん?」
「そう、僕の父ちゃん。 痒さや、痛みは、たぶん、痔だと思うよ。 日光で少し治まるかもしれないけど、悪化する前に医者に診てもらったほうがいいよ。 立ったり、歩いたり、痛みで寝ることも出来なくなる、手遅れの前にね」
「・・・俺は・・・俺は、医者は嫌いなんだ。 大嫌いなんだ。 それに・・ケツ穴だぞ、恥ずかしいじゃねーか」
「それはわかるよ。僕も痔で医者行ってケツ穴見せたときは恥ずかしかったけど、相手は医者だし毎日沢山のケツ穴見てる人だし、適切なアドバイスして薬も出してくれるよ。いつまでも1人で痛みと戦い続けるよりは、ちょっと恥ずかしい思いするけど治るほうがいいよ」
「だけどよ・・」
と言って、背中に隠したエロ雑誌を取り出しながら、あるページを開いて僕に差出し、
「こんなのだぞ、お前もこんなの・・・されたのか?」
それは、かなりボロボロのエロフリーペーパー(アダルト広告満載無料情報誌)だった。熊が指し示すところは、男がケツの穴を広げているところを、3人の看護婦が嘲笑しながら見ている写真。僕はまた笑ってしまった。
「笑っちゃってごめん。 これは医者じゃないよ。 プレイなんだ。 んーと、アダルトビジネス。看護婦の格好をしたスケベな女に、まぁ、色々見られたり、されたりするのが好きで興奮する人向けの、アダルトサービスビジネスの広告だよ。 こんな医者は実際にはないよ」
「・・・そうなのか、これは医者じゃねーのか」


「それとさ、僕は、あなたを何度か町で見かけたことがあるんだ。あなたは、こうやって、パンツに手を入れて歩いてたよね」
「・・ああ」
「もしかして、ケツ穴だけじゃなくて、キンタマも痛いんじゃないの?」
「・・時々な、痛くなるんだ、なんでわかったんだ?」
「やっぱり。 肩が痛い人は肩を押さえてるし、歯が痛い人は頬を押さえてるのと同じだよ。 あなたの、その大きくて立派なキンタマは、もしかしたら脱調(ヘルニア)って病気かもしれないよ。医者でキンタマも見てもらったほうがいいよ」
「俺のキンタマが病気?」
「かもしれないってこと。 イギリスは日本とか他の国と違って、診察は無料でしょ。タダなんだから見てもらったら?」
「おまえ、日本人なのか?」
「そうだよ」
「・・・そうか、俺はスコティッシュだ」
(どうも熊の英語が聞き取りにくい理由がわかった。イギリス英語とちょっと違うし、 時々彼が "アイ"って言ってたのは、 I=私 の意味じゃなくて、Aye=イエス=アイアイサーのアイ の意味だったのだ)
「ジャップ、オメーは、俺に、医者にケツ穴とキンタマを見せてこい って言ってるんだな?」
(彼は、僕をジャップと言った。侮蔑的には聞こえなかったので、気にしないことにした)
「そう、僕はあなたが心配で言ってるんだ」
「それならよ・・・・」
(と、熊が黙ってしまったので、恥ずかしいから、一緒に医者に行ってくれ って言われるだと思ったし、それ言われたら、どう返事しようかも迷ってた)
「それならよ・・・、ちょっと、俺のケツ穴見てくれねーか? 自分じゃ見れねーからな、痔じゃねーかもしれねーだろ?」
(なんだ、そんなことか・・)
「いいよ、僕が知ってる痔の症状に似ているか見ればいいんだね」
(と言ったら、熊はゴソゴソとケツをこちらに突き出そうとしたのだが・・)
「ちょっと待ってくれ。 俺のケツ穴は臭くてキタネーから見せるのが恥ずかしい。ジャップが本当に俺のこと心配してるなら、ジャップのケツ穴とキンタマを先に俺に見せろ」
「え? え?? 僕のケツ穴を見せろって言った?」
「ああ。 俺が心配なら問題ないだろ?」
「・・・・・うーん。わかったよ、僕のを見せるけどさ、絶対に医者に行くって約束してくれよ。」
「Aye! (Yes!)」
 僕がブーツを脱いだら、熊にココに来いと、熊の寝ていたバスタオル招かれた。座ってる熊の顔の前で、僕はジーパン、パンツをモソモソと脱いだ。

「僕のチンコは、ジャパニーズサイズだから小さいんだ・・ケツもさっきウンコしたから臭くて汚いよ・・」
「問題ない、気にするな。・・・ ジャップのチンコは、こんな真っ黒い毛なんだな、初めて見た」
「そうだよ、髪の毛と同じだよ」
熊は珍しいものを触るように、僕のチンコを撫で触った。僕のキンタマを2本指で少し力を入れて握って
「こうやって、痛くねーか?」 と聞かれたので
「痛くないよ」と答えた。
「俺のキンタマは病気なのかな 10年以上、SEXしてねーんだけどな」
「性病じゃないよ。 ケツ穴の痔もね。珍しい病気じゃないし、ウイルス感染の病気でもないよ。キンタマが痛いのは、内臓が体からキンタマ袋に下がって来てるんだ。だからキンタマ袋が大きくなるし、キンタマに圧力かかってるんだと思うよ」と、僕は自分のキンタマを引っ張りながら、なんとか説明した。
「ありがとな、 キンタマが病気だとは思わなかったぜ。 よし、次はジャップのケツ穴見せてくれ」
 僕が四つん這いになって、ケツ穴を広げて見せると、
「おー、臭せーな、ウンコついてるぞ、ケツの毛も黒いんだな・・ こここうやって、触って痛くねーか?」
と、言われ放題、聞かれ放題、触られ放題だ。 チンコの時より随分長く観察された。
「僕が医者に診てもらってっるようだな。 ドクター、どうだい僕のケツ穴は大丈夫かい?」
と、一応、ジョーク交じりに聞いたら、
「クセーのと、ちょっとウンコ付いてる以外は、普通なんだろうな」 と言われた。 僕は自分のチンコが勃起しかけてるのに気が付いた、恥ずかしい。

 今度は、熊が四つん這いになって、僕に大きなケツを突き出して、大きな両手でガバっとケツ穴を開いた。
「よーく見てくれよ。 痛てえけど、俺は医者に行きたくねんだ」
 熊の毛だらけのケツが開かれて、赤くて・黒くて、グロなケツ穴が開かれて、僕は言葉を失ってしまった。メチャメチャクサい、ケツ穴がウンコと血と汗でグチャグチャになっている・・・ウワッ! もしかしてコレは・・、まいった・・・想定外の惨状だったのだ。
 これをどうやって説明したらいいのか・・。

「・・・どした?」と熊。
「うん・・・すごく、すごく汚くて臭いのだけど・・、風呂かシャワーはいつ? 昨日? 今日?」
「シャワーはおとといの朝だ」
「・・・今日、ウンコした?」
「ウンコもおとといの朝だ、ケツ穴が痛くてできねえんだ」
「・・・」
「・・・どうした?」
「・・・あのさ、キレイにしないと良くわからないから、コレで洗うけどいい?」 と、僕は持参のペットボトル水を見せて、了解を得て熊にケツ穴を突き出させたまま、患部に刺激を与えないように、水をかけながら指で熊のケツ穴の惨状を水で流した。 そう、思いたくはないが・・・アレも混ざってるような気がする。
「コレ、今朝から穿いてるのだけど、これで拭くけどいい?」と、僕は熊に了解を得て、僕の穿いてたニットパンツで熊のケツ穴を、そおっと拭いた・・が、最も、僕の目の前から消えて欲しいものは消えず、さっきよりハッキリと露わになってしまった。まいったな。。すげーまいった。
「汚ねえの洗ってくれてサンキューな」
熊が喜んでくれてる・・まいったな。まだ酔っ払っているのだろうか。この熊は本当に何もわかってないのだろうか。

「・・・いつ、・・いつからケツ穴が痛いの?」
「昨日の朝、起きてからだ。 痛くて起きたかもしれねえ」
「・・・おととい、シャワー浴びてから、昨日の朝までのこと何か覚えてる?」
「・・・うーーん」
「じゃあ、おとといの昼・・・夜かな、酒を飲んだ?」
「・・・ああ、飲んだ。夜な、外で若い兄ちゃんがウイスキーをくれたんで、一緒に飲んだ」
「え?・・・その人は知り合いなの? 飲んでた時のこと覚えてる?」
「わからねえ、ヤツには前にも会ったかもな。 俺はあの晩も酔っ払ってすぐ寝ちまったから、酒貰って飲んだことしか覚えてねえんだ」
「・・・こういうケツ穴の痛み、以前にも経験したことある?」
「ねえ。 初めてだ。 自分で見えねえしよ、何で痛てえのか、サッパリわからねえしよ。」
「・・・・・・・・」
「・・・どうした?」
「う、うん。 あなたのケツ穴の皮膚が切れて出血している」
「血か?」
「そう、血がでている」
「だから痛てえのか」
「そう。これは痔の症状で、色々原因があるけど、ストレスや酒を飲みすぎたり、便秘で固いウンコしたときに皮膚が切れるとかなんだけども・・・・あなたのケツが痛い原因は痔だけじゃないんだ」
「何? 何て言った?」
「・・・ハッキリ言うよ。 あなたは、おとといの夜、一緒に酒を飲んだ兄ちゃんにファックされたんだよ」
「ファックって、ファックユーのあれか?」
「そう。 あなたが寝ている間に、その兄ちゃんが、あなたのケツ穴にチンコを突っ込んでセックスしたんだ」
「・・・」
「あなたのケツ穴は普通じゃないんだ。ここ、普通は体の中にあるケツ穴の肉が飛び出しているし、こういうところの皮膚がね、擦られたような傷があってが赤く擦れている。無理やりケツ穴から体に入れられたような痛みだと感じない?」」
「・・・Aye・・・」
「・・・あなたはレイプされたんだ。」
「・・・俺のケツ穴でセックス? レイプ・・だと? アナルはプッシーじゃ、ねーぞ。ウンコの穴だぞ」

 僕より年上なのに・・こういう人がいるとは・・まいった。感染病のことを伝えて、絶対に医者へ行かせないと・・。

「アナルセックスって言うんだよ。男が女のアナルにチンコ入れることもあるし、男が男のアナルにチンコいれてセックスすることもある」
「ケツの穴で興奮するのか? 勃起するのか? そんなわけねーだろ」
「そういう人も居るんだよ。・・・・・・あのさ、ちょっとこれ見て」
と、僕は四つん這いの熊から見えないように隠していた僕の半勃起チンコを見せた。
「お? おめーー・・」
「ごめん。本当にごめん、申し訳ない、こんなときに。恥ずかしいけどさ、僕は、あなたのケツを見て、ケツを触って勃起してるんだ、興奮しているんだ、あなたの大きなケツがセクシーだから。」
「ワハハ。。俺のケツがセクシーか。・・・・だから、俺のケツ穴が痛てえんだな」
(全く笑えない冗談だ。セクシーは不謹慎発言だった)
僕が言葉を失っていると、
「ジャップ、オメーは気にするなよ。 でもよ・・こっちのノーティボーイは・・全くノーティだ!」
と僕のチンコをグイと握った。
「ジャップ、俺の名前は ダンカンだ。 ダンカンはウォーリアなんだぞ。 強い男だぞ。だけど、俺は男にファックされたセクシーなデカイケツのウォーリアだ。」
(気持ちは察するけど、こういう自虐ジョークは困る・・)
「ダンカン、僕は・・・僕が言えることは、必ず、必ず、医者に行って欲しい ってことと、 酒は飲むなとは言わないけど本当に危険だから控えて欲しい、ということだけだよ」
「・・・Aye、アドバイスありがとな」
「絶対に、医者に、正直に伝えなきゃだめだよ。寝ている間に男にアナルセックスされたって。」
「・・・Aye、わかったさ」
「・・・・」
「・・・・」

 僕が立ち上がろうとすると、熊が言った。
「ジャップ、俺はよ、どうして俺がレイプされたのかがわからねーんだ」
「何もわからないほど酔っ払って外で寝てたからだよ」
「だけどよ、酔っ払いが寝てたからって、俺のケツ穴なんかでセックスしようと思わねーだろ」
「だから、ダンカンは、、あなたはセクシーなんだよ。あなたがそう思わなくても、あなたとセックスしたいと思う人、男も女も広い世の中にはいっぱいいるんだよ。 ・・・僕も勃起してるだろ。」
「ジャップ、オメーは、俺みてーな男のケツが好きなのか?」
「・・・たぶん、そうだよ。 そうだって、僕のチンコが言ってる」
「・・・・」
「・・・・」
「もう一度俺に見せろ! ジャップ、オメーのケツ穴、もう一度見せろ?」
「え?」
「俺は自分で確かめてえんだ。男が男のケツ穴見て興奮するのか、何で俺がレイプされたのか?」
「・・・もう一度ケツを見せるのは構わないけど・・、ダンカンの好みの女と同じで、好みが合わなけりゃ興奮しないよ。わかるだろ」
「いいから、ここに寝て、オレにジャップのケツ穴見せてくれ、そしたら、明日、必ず、俺は医者に行くぞ。明日って約束するぞ。いつか、 じゃねーぞ」
「わかったよ・・、明日だね。必ずだね。約束だね」

 僕は、病気の話をどう熊に伝えようか悩んでた。でも、明日必ず医者に行ってくれると言ってるのだ、気のすむようにしてやろう。僕が、またバスタオルの上で四つん這いになってケツ穴を開こうとすると、熊は
「そーじゃねー、逆だ」
と言って、僕は仰向けにされたかと思ったら、足を持たれてオムツ替えの姿勢にされてしまった。きっと、熊の好みのセックス体位なのだろう。僕は自分で自分のヒザ裏を抱えるように持たされた。熊の中腰の太ももが、僕の背中にあてがわれた。僕のチンコと、僕のケツ穴を見ている熊の真面目で真剣なコワイ顔と、青空が見える。僕は目を閉じた。
 熊の鼻息が聞こえる。 熊は僕のケツ穴を観察し、ケツ穴と、チンコとをいじっている。たぶん、熊自身のチンコもいじっているのだろう。 熊への恥ずかしさはなかったけど、正直、最初は少し思った。 ここは公共の屋外だ、こんな姿を人に見られたら、どう説明するのか。 でも熊の心情を考え始めたら・・そればかりが頭の中を巡ってた。

 熊はレイプされたのだ。 レイプを知らなかった熊。 無防備すぎた熊。 男が男とセックスすることを知らなかった熊。 痔も知らなかった熊。日本人の僕にレイプだと指摘された熊。 アナルセックスという行為を知らされた熊。 交友関係が極端に少ないだろう熊。 知らないことが多すぎだった熊。 信じたくないけど、信じて理解しなければならない熊。 恥ずかしいけど、大嫌いな医者に行かねばならない熊。 医者に様々なことを聞かれ、説教されるだろう熊。 そして病気のことについて、現実について理解させられる熊。僕より遥かに年上なのに。ゲイが多い国に住んでるのに・・。

「オーケイ、ジャップ見てくれ」
 熊の声で僕は目を開けた。10分程度だったのかもしれない。長くも短くも感じない時間だった。

熊の顔を見て、熊の目線の先を見たら、 熊のチンコは勃起してた。 勃起して射精が終わったところだった。バスタオルにたっぷりの精液が溜まってた。 僕自身、現実で何が起こってるのか、ちょっとわからない状態だった。 僕は、考え事をすると、周囲の状況も、聞こえるてる音も気配もわからなくなってしまう・・。子供の時から変わってないようだ。熊のオナニー行為に全く気がつかなかった。

熊が言った。
「男のケツ穴で興奮するってがわかったぜ。 俺もジャップのケツ穴にチンボ入れたくなった、チンコがジャップの糞まみれになっても入れたいと思った、けどガマンしたぞ。 俺のケツも、ジャップのケツみてーに、セクシーなんだな。 だからやられんだ。」
「・・・ダンカン、すごい量、出したね。 気持ちよかったのかい?」
「ああ、気持ちよかった。 ケツ穴が痛くなければ、もっと出してたぜ」
「 ・・・・明日、医者に・・」
「Aye! 俺は行くよ、約束だ!」

射精終わって、気持ち良さそうで嬉しそうな熊は、そこにあった、さっき熊のケツ穴を拭いた僕のパンツで自分の精液を拭き始めたことに気が付き、僕に謝りながらも、、とても嬉しそうだ。

「ごめん。悪かった。 ジャップのパンツで俺のスープを拭いちまった・・・このパンツ、俺が貰ってもいいか?」
「いいよ。 ・・ 最後はちゃんとゴミ箱に捨ててね」
「サンキュー、 色々、 沢山、サンキューな。 ジャップ、オメーも気を付けろよ 」
「じゃ・・Bye!」
と言って、僕はジーパンを穿き、熊と別れた。

病気のことをわかってないからなんだろう。自分のケツの惨状を見てないからなのだろう。 色々知らなすぎるから、ケツの痛みを、ケツにチンコ突っ込まれた痛みをハチに刺されたくらいにしか思ってないのかもしれない。

もし、僕が今日デジカメを持ってきていたら? もし僕がカメラ付きスマホを持っていたら。 熊のケツ穴を撮影して画面で見せてたかもしれない、そしたら・・今のように、明るく分れることが出来ただろうか。 知りすぎるのも、知らなすぎるのも・・・ってことだ。

僕が熊にしてあげられたことは何だったのだろう。 あれもするべきだった、これも伝えるべきだったとか、後悔始めたらキリがない。 今日の出会いから、別れまで・・サンキューって言ってくれたんだから、約束してくれたのだからいいじゃないか。

熊は明日、医者に行くだろう。でも、医者嫌いの熊が、この町で主治医登録をしてないなら、登録からで、ちょっと大変だろう。性病検査は大きな町の大病院まで行かねばならない気がする。ちゃんと、数回、医者に行ってくれるだろうか。痔はどうなんだろう、何か薬を処方されるのかな。 いずれにせよ、僕も熊もこの町に住んでいるんだ、また、会うだろう。

最後に『気を付けろよ』 って言ってたのは・・、『オメーもセクシーなケツだから』の意味じゃなくて、『オメーも知らねえ人である俺のビールを飲んだのだから』 の意味だったのかも。 ビールの時も、便所のときのことも僕を覚えているんだろうか・・・

ダンカン、ウォーリアの強い男のダンカン。

2013年4月2日火曜日

40歳 ラガー熊 2


 数日後、ラガー熊を見かけた。僕がスーパーから出てきて海を見ながら家に帰ろうとしていたとき、反対側歩道を海の方へ、足を少し引きずってゆっくり歩いてた。酒瓶は持ってない、が、左手はまたラガーパンツの中だ。

 熊と話をしたい、熊と仲良くなりたい、お近づきになりたいわけではない、、のだが、何か気になるのだ。 僕は、熊の背中をのんびり見ていた。 ラガーパンツがずり下がって毛深いケツが四分の一露出している。

 今の日本ではどうかわからないけど、イギリスの観光地ではない郊外、住宅街ではケツを出している男をよく見かける。 5、6年前は町中で突然、生ケツを見るのはカルチャーショックっていうか驚いたものだが、もう慣れた。ジーンズなどウエストの緩いズボンをベルトをせずに穿く。住宅建築や道路工事の現場作業員に、かなり多い。家で全裸で過ごしている人も多く、その延長なのかパンツ(下着・アンダーウェア)を穿いてない人も結構多い。しゃがんだ姿勢での作業ではケツが半分ほど露出する。こちらを向いて、両腕を上に伸ばして木材を下から押し上げたり、支えたりしている人は、チン毛は全部、竿の半分ほどが、そこそこの時間露出するのだ。スーパー店内で冷凍食品の棚から買いたいものを取るのに、棚と自分の間で、穴が見えそうなほど露出させての、のんびり店員のケツ出し品出し作業を待ったことも数度ある。テレビ放送では、性教育・性医学番組ではチンコも女性器もケツの穴もモザイクぼかし無しの完全露出だし、ロンドンでは町中を自転車で全裸で走る大イベントもある。イギリスってそういう国だ。もちろん、ネット検索すれば、男女全裸・性器画像も動画もいくらも見放題の時代なのだが・・・

 老人の多いこの町中で、日中、ケツを出して歩いているラガー熊に、町の人はどう反応するのか・・を確かめたかったのもあるが、本音を言えば、僕はデカイ男のデカイケツに興味ある。だから見ていたのだ。

 熊が町の人、オバチャン、オジチャン、オバアチャン、オジイチャンとすれ違う。嫌な反応をする人はいない。むしろ、ハーイ、ハイアーユー? なんて、好意的に気軽に挨拶する人もいる。熊のケツ出しを見て嬉しく笑うオバアチャンもいた。熊はちょっと照れくさいみたいだ。
 この町の人は優しくて親切で好意的な人が多い。明らかに人種違いの僕にも躊躇なく気軽に話かけてくる。以前、日本の山間部の閉鎖的で老人の多い田舎町に住んでいたことがあるが、ここは海があって開放的で、かつイギリスだからか、全く人々のコミュニケーション、気安さ、気配りが違う。
 日本に当たりまえにあるものは無いけど、日本に無いものがこの町にはある。
 熊がこの町に、おそらくスーパー・海の近隣に住んでいることも、挨拶の様子からなんとなくわかった。

 ちょっとだらしない、が、普通に皆から受け入られる町、いい町だと思う。

 熊が海岸沿いを歩くと、白人ではない観光で来ただろう若者男女が7人いた。熊を大げさに嘲笑している。熊が通り過ぎると、熊の背中を指さして大笑いし、熊を真似てパンツに手を突っ込みケツをちょっと出して腹を抱えて大笑いしている。 僕は嫌な気分になった。



 次に熊にあったのは、そのまた数日後だ。
 夜7時頃、僕はウンコするために散歩に出た。僕は、子供の頃からキレイで静かな公衆便所でウンコするのが好きで、デパート、ホームセンター、図書館などにウンコ目的に出向いていた。それも大人になっても変わらない。ウンコの、後、先の違いはあるけど、ウンコして散歩して帰ってくるのだ。年中便秘がち体質だけど、家より公衆便所のほうが出やすいから。 ここは一応マリンリゾートなので、新居から徒歩数分圏に公衆便所がいくつかある。家が1階で玄関ドア出て5メートル歩いてドア開けたら、もう外、そこからちょっと歩けば海岸という、階段昇降や共有スペースなどの無駄歩きが全くない気軽さで、大雨、大風ならなおさら公衆便所に行くから1日中家から出ないことが、まずない。

 海岸沿いの男便所に来た。キレイと言っても、日本の超清潔・超豪華ウォシュレット付とは全く違う次元だが、悪臭が無く、狭くなく、毎日清掃されてケツ拭き紙もたっぷり補充されていて、便器もドアも、ドア鍵も破壊されてなくて、無料で利用でき、静かで安全な便所だ。

 この便所は24時間オープンではない。夜8時には施錠され入場できなくなるのだ。夜7時、風がでてきて少し寒くなり、便所の外にも中にも全く人の気配がない、波音だけが聞こえる、僕にはベストのウンコ環境だった。

 今日はどの個室にしようかちょっと考え、ドアを押したら、そこに素っ裸の大男が居てぶったまげた。

 大男、毛だらけの背中、デカイケツ、裸。 ケツを突き出すように、こちらのドア側に向けて、便座の後ろの水タンクに腕まくらでの逆座りで、ンゴンゴ鼾をかきながら寝ている。横顔見て、それが熊だとわかった。

 ウンコ最中のドアを開けたことも、開けられた経験ももちろんあるのだけど、こういう状況は・・あぁ、昔もあったな・・と思った。

 どうするべきか、ちょっと悩んだ。このままにしておいても、あと1時間もすれば施錠のために誰かくるのだし、殺人・親父狩り・強姦的な事件でもない、酔っ払いが便所で裸で寝ているだけなのだ。 だけど、なんかほっとけない。 施錠時間までに先日の嘲笑バカ若者のような輩が来るかもしれないし、施錠のオバサンか誰かに、うんざりするほど小言を言われるのかもしれない。僕が起こしてあげれば、最悪の目覚めよりは、大分良いのではないか。
 僕は、全裸熊の個室に入り肩を軽く叩いて、起きて、ここで寝ちゃだめだよ(英語)と伝えたらムニャムニャと体を起こしたので、個室を出てドアを閉めた。中でガサゴソ音がしてる、もうだいじょうぶだろう。

 僕は隣の隣の個室に入って、自分の用を足そうとパンツを下して便座に座ったのだが、、当然、ウンコなんか出やしない、小便も出ない。便意が完全になくなってしまった。『もうちょっと、熊のケツ見てればよかったな・・・いやいや、それは人間としてやっちゃいけない行為だ!』なんて思いつつ、今夜のウンコは諦めて家に帰ろうと思いパンツを穿こうとして気が付いた。僕の便器の後横に、脱ぎ捨てた、ブーツとラガーパンツがあるのだ。え?? そこにそれがある意味はわからないが、それが誰のものかはわかる。急いでパンツとジーンズを穿き、ドアを出て、熊の個室をノックした。ノックの返答がない・・。素っ裸で外歩いてるのか? もしやと思って、そっとドアを押し開けたら、うわっ! いた、全裸のままいた。

今度はさっきの逆。チンコ丸出し。こちら向きで正常座り方向ではあるが・・浅く、大股開きで、デカイキンタマと太いチンコをこちらへ突き出すように、全裸でそっくり返って、鼾をかいて寝てるのだ。
エクスキューズミー、ウェイクアップ! って何度も、大きめに耳元で言ってみたが、ムニャムニャ言って、ちょっと起きてはまた寝てしまうの繰り返し。

 のんきな寝っぷりが、ちょっと面白くて笑ってしまった。


『こういう状況も、昔あったな』 とまた思った。 しかし、その時今では人間関係が違うのだ。

介護で大・小便を手伝った経験がある
飲み会の3次会後に泥酔した先輩を肩で支えながら小便させた経験もあるし、
便所からなかなか戻らない先輩の様子を見に行ったら大便しながら寝ていたし、
泥酔した親友でも経験あり、独身寮に住んでた時は、泥酔で私の部屋内で小便しようとした先輩を便所につれていった

もっと若いときにも・・

僕は泥酔者の大・小便と縁があるのだろうか・・と思ったけど、居酒屋や料亭の店員はもっと大変なんだろうな、ゲロ掃除などもあったりするのか。


 なんて考えながら、熊の足を片方ずつ持ち上げ、ラガーパンツを通し、ブーツを穿かせた。和式便所でなくてよかった。長ズボンじゃなくてよかった。下着パンツも無い分ラク・・とか思いつつ、僕の頭を熊のワキの下に入れて立ち上がらせたら便器にウンコがあった。そうだ、ここはウンコを出すところなのだ。ウンコを見てから匂いに気がついた・・・。個室の中でデカイオッサン二人・・どうにも狭いから、熊のラガーパンツを膝で止めたままドアの外になんとか運び出し、ドアの外で熊のケツの穴をなんとか拭いた。 ラガーパンツを穿かせる際に、デカイキンタマと太いチンコを収めるのにかなり苦労した。あんなことを、あんなにされたら、僕は完全勃起以上になってしまうだろう。

熊を便所の外のベンチに座らせた。 シャツは無いから上半身裸だ。あとは誰かが起こしてくれるなり、酔いが覚めたら自分で帰るだろう。ここまでやったのだから、もう、いいだろう。 それにしても、気持ちよさそうに寝ている。こっちは汗だくだ、自分のウンコ出せず、他人のウンコ処理をするとは。

家に戻って、ちょっと考えた。 熊はいつも、ああなのだろうか? やっぱり、アルコール中毒なのだろうか? 近所に住んでるってことは、いつかまた彼の酒を飲むこともあるのだろうか? 僕はなぜ、彼が気になるのだろうか・・。

 結局僕は・・父離れできてない、40歳になっても、ファザーコンプレックスなのだ。

とか、1時間程考えてから気がついた、、あ、僕はまだ手を洗ってなかった・・。

ビールの間接キスの後、素っ裸見て、ウンコ見て、ケツの穴拭いて、パンツを穿かせるのにチンコさわりまくって、、なんなんだよ、おい。

2013年4月1日月曜日

40歳 ラガー熊 1


 新地での新たな生活が始まった去年の夏の夜7時頃、僕は海の横のベンチに座って夕涼みしていた。ハロゲン街灯の黄色い光と波音、波風が心地良い誰もいないメインビーチから離れた静かな場所。

 僕は、屋外で音楽を聞くときは周囲に人が居ない時のみにした。 音漏れ有無に関わらず、イヤフォン利用の様を迷惑に感じる人を見かけるからだ。 他人に不快感を与えることはできるだけやめようと、今一度再考させられる田舎だ。
 その日は、sansaで森高千里「この街」と「ファイト!」の2曲を何度もリピート再生していた。しみじみ、いい曲だ。 故郷、そして子供だった頃の思い出が蘇ってきて、ちょっと涙してた。
 あと、5・6回、聞いたらイヤフォン外して、のんびり海を見ながら新居に帰ろうと思った時に、酔っぱらいのオッサンがフラフラしながら近づいてきた。

 デッカイ体、丸太のような太い足でラガーパンツの短パン、長袖シャツだが太い腕。黒皮のショートブーツを履いた、ブロンド色で短髪の酔っぱらいの巨体熊。デブの基準が日本と全くズレているイギリスでは、そこら中にいて珍しくない容姿。私より年上で50歳前後だろうか。右手にビール瓶を2本持っている。左手はラガーパンツの中。僕もよくやる股間の痒み処理でも、モノ位置調整でもない。明らかにモノを揉み続けながらこちらへ歩いてくる。

 ここは日本ではないのだ。夜間、周囲に人が居ない、酔っぱらい、明らかすぎる腕力差・・。 海外生活そこそこ長いし、以前、オランダで面倒な経験をしたので、『明日も平穏に生活したいなら、関わられる前にすぐに去るべし』 の危険信号を感じたのだが・・・・どうもそのオッサンに漂う寂しさ、孤独感、何か懐かしいような妙な感覚があって、まぁ危険性はないだろうと思い、そのまま座って聞いてた。すぐに去ってくれるかもしれないし。普通に考えたら、大事になる可能性のが少ないわけで。

 そのオッサンは、いや、私もオッサンなので、彼をその容姿から『ラガー熊』と書くことにするが、私の真正面のベンチに座った。ベンチは沢山あるのに、なぜ、そこを選ぶのか? 電車で自分のみの車両に、酔っぱらいが来て自分の真ん前に向かい合って座った感じ。ここは海岸沿いの屋外なので海外の夜の電車内ほどの怖さはないのだが。。 
(え? おいおい、なんだよぉ。 そこがあなたのお気に入りなのかい?)

 ラガー熊との距離は2メートルほどだが、彼は浅く腰掛け、背もたれに反り返り、足を大きく開いて投げ出すように座ってるので、そのデカイ足が近くてちとコワイ。

 持ってた2本瓶のうち1本を口にあてがい歯で王冠を開けてラッパ飲みを始めた。(歯で開ける人は結構見慣れてるので驚かなかった) 左手は、座ってもラガーパンツの中だ。モノを握って揉んでいるのは確実だ。 数秒前までは自由に好きな方向を好きなだけ眺めていられたのに、前方閲覧危険かも状態になってしまった。 見るなら自己責任でチラ見のみ。

 ラガーパンツの中から出した手が腰を触るように後ろに回ったら、2本のビール瓶を持ってでてきた。 (ナヌッ!? どっから出てきた!?) 両方、王冠が無いから空き瓶のようだ。 ここに到着するまでに、最低2本飲み干してていることがわかった。 このベンチに来るまでにそこら中に空き瓶を捨てるゴミ箱はあったろうに、なぜ捨てずに持ち歩いてるのだろか。 お? ん? 酒飲めないから酒に興味無い下戸の私にもわかるぞ、4本の瓶は全部異なる銘柄だ。

と、チラ見でここまでわかった。 夜風にあたりながら静かに酒を飲む、それが心地よさそうなのはわかる、空き瓶の危険性もなさそうだが、、、それより全体から溢れてる寂しさ感がどうも気になる。なんか心にひっかかる。。
(なんか、こういうの昔あったよな・・ なんだけっけ) とふと思った。

 ヤバイ? な感じは微妙になった。 今、立ち去ったら何か言われる? と思って、僕はそのまま俯いていた。 あぁ、そうだ、音楽聞いてたんだ、すっかり忘れてた。耳中で大音量で鳴ってるのに音が聞こえる感覚がなくなっていた。 静かな夜、こんな至近距離ではシャカシャカ音が迷惑だろうと、すぐイヤフォンを外そうと耳元に手を当てたら、ラガー熊が体を起こしたので前を見た。彼は、ゆっくり手を振って、耳に当てた。 
『外さなくていいよ、そのままで、気にするな』 的なジェスチャーされた。
 ラガー熊もこっちを見ていたってことだ、、むむむ、ジェスチャーを送られ受け取ってしまったというのは、少なからず関わりができてしまったいうことだ。困ったな。帰り去るタイミングがちょっとあれだぞ。不快を与えないように、すーっと立ち去りたい。

 よし、あと2、3分経ったらさり気なく立ち去ろう と思ったら、間がわるく、声をかけられてしまった。立ち上がってこちらに来て、
「お前も飲め(的な英語で)」 と瓶をこちらに差し出された。

「ノーサンキュー アルコールはダメなんだ」  と、笑顔で断ったら、ラグビー熊はちょっとニヤッとしてもう1本の瓶の王冠を、また歯で開けてしまった。

『もう、開けてしまったから、これは飲んでいけ』  と、飲兵衛によくある流れになっちまった・・と思ったら違った。

 なんと、今、僕に差し出してから開栓した瓶は自分でラッパ飲みを始め、 さらになんと、さっきまでガブガブとラッパ飲みしてたほうの瓶をこちらに差し出したのだ。

 え?? どゆこと? 私に空き瓶を捨ててこいってことか? ん??

 ラガー熊が言った、「これは甘いんだ、お前にも飲める、飲め」と。

 受け取った瓶は空き瓶じゃなかった。 3分の1程残った飲みかけだ。で、これ、飲めと??  え。。

 ちょっと困りながらラベルを見て、笑ってしまった。 これはビールだけど、ジンジャービアなのだ。アルコールは入ってるが苦くない甘いビール。 いかつそうに見えた顔が目の前でにっこり笑っている。僕も、この熊は甘いビールを飲んでたのかとわかったら、フフと笑ってしまった。

 下戸を理由に断る僕に、甘いビールを、しかも量を減らしたものをくれた?
 
 サンキューと言って受け取ったら、熊はニッコリし、振り返って座ってたベンチに戻って行った。 横に座られて、いろいろ語られたら面倒だと思ってたので、話し込む気はないよの態度はありがたい。

 熊は普通に座らなかった、ベンチに登り、ベンチの背もたれに腰かけた。 ちょっと高いところから見下されてる感じ。熊は時折新しいビールを飲み、目を閉じて静かに俯いきながら、また左手をラガーパンツに突っ込んでチンコを揉んでいる。 股を大きく開いている熊のラガーパンツから大きなキンタマが飛び出していた。パンツ(アンダーウェア・下着)穿いてないみたいだ。 なんか、さっきより心地よさそうに寛いでる?
(こういうのも昔あったな・・) と思った。

 親切な酔っぱらいの大きな熊がキンタマ出して海風にあたりながら、とても心地良さそうに寛いでいる。

 ま、いいか。 熊が僕に会ったことでちょっとハッピーになれたようだし、僕も楽しめたし。
 僕は初対面の人から突然渡されたビールの飲みかけを飲みはじめた。 国も人種も違うけど、人間の≪飲みにけーしょん≫だ。 彼の唾の味とネットリ感がしたような気もするけども、、5分程かけて、ゆっくりと、正面の酔っぱらい熊と大きなキンタマとを眺めながら、僕も酔っぱらいになった。会話はない、ただ、お互い心地良い、それだけだ。

 僕が飲み干したのを見ていたのか、熊はベンチを降り、こちらにきて僕から空き瓶を受け取ると、自分の瓶をクイッと飲み干し、計4本の空き瓶を自分のベンチに置いてから、ピーピー(ションベンの意味)と言って海岸へ歩いていく。  どこまで酔ってるのか。 律儀な熊だ。

 熊が海に向かって立ちションしている。終わるまで待とうかと思ったが、長いションベン。なかなか出ないのか、いつまでも出したらないのか。(残尿感という意味を身を持って理解しおえたオッサンの僕です)
 熊の背中越しに、サンキュー、グッナイ と言ったら、グッナイと振り返らずに手を振って答えてくれた。

 ただ、ビールの飲みかけを飲んだだけ、心地良い、ふとした幸せの夜だ。彼と、ビールと、森高千里さんに感謝。

 と、いい気分で帰途を辿っていたら、初対面のおばさんに突然声をかけられた。 
「酔っぱらいに関わると危険よ。 彼にもう近づいてちゃダメよと。」 と勝手に言い捨てる。
 え、なんか嫌な感じ。 おばさんとしては親切なつもりで言ってくれたのだろうけども。心地よい気分ぶちこわしだ。
『そういうあんたは、彼からどんな危険被害を受けたの? 何をもってそういうこと言うかね?』
と聞き返したかったが、言えるはずなく。
その晩、モヤモヤ気分で僕は寝た。

新ブログ始めた


41歳の4月、僕は新しいブログを始めた。

世間は誰も当たり前に、スマホ、ケータイを持ってる時代に変わった。

高校時代に7人組でつるんでいた仲間で結婚してないのは、僕だけになってしまった。皆、嫁と子供を守る新しい人生を歩んでいるのに。

芸能や社会に関心がなかったのと、海外生活していることと、人と話すのが苦手なこともあって、僕の日本での色々な記憶は90年代で止まっている。話が合わなすぎるので旧友とも、他の日本人とも話をすることが皆無になってしまった。

世間や周囲を自分の快適に合わせて変えることはできない。不満があるなら自分自身が変わるしかないのだ。当たり前だ。

皆に追いつかないと・・
と、思ってはいるものの、変われない僕。


昨年、イギリス南部の海辺の町、スワネージに思い切って引っ越した。
自動販売機がないのはイギリスだからしょうがないとしても、コンビニがない、デパートがない、メジャーファストフードもファミレスもない、家電量販店も大きな書店もない。24時間営業店がない。エスカレータ、エレベータが存在しない。中学・高校生時代に当たり前にあったものが、ここにはない。望むものが揃っている大きな町までは、バスで片道90分。ADSLブロードバンドは利用はできているものの、調子良いときはで下り12M程度だが、夕方6時から11時まではGoogleやamazonサイトすらもタイムアウトで表示できない劇遅になる。アナログ回線とモデムでパソコン通信やってたときより遅い。

ビルのない新地での生活は、不便・新鮮・ゆったり時間と、『以前もこんなことあったな…』とふと昔を思い出す懐かしさも混ざっている。

海のある穏やかな町は若者がいない。老人が大勢いる。自ずと自分の30年後や、30年前について考えてしまう。

背伸びして自分を変えなくてもいいのでは? 変わってない自分の良さもあるのでは? という、思考に落ち着いたのは、1年前とはちょっと変わったことかもしれない。

僕は、日本人平均寿命82歳の半分を生きた。

あと10年、50歳位で死んでしまうかもしれないし、80歳まで生きれたとしても60歳位から痴呆とか不健康状態で、現在普通にできている色々なことが自力困難になってるかも。

iPad5やiPhone6のことを考えるよりも、今は、過去を振り返って自分を見つめなおす、いい機会だ。完全に自己満足の下手くそ長文だけど誰か読んでくれる人がいれば嬉しい。

僕は愚図で優柔不断な性格も変わってない。
このブログのタイトルを決めるにも1ケ月かかった。

最初は "類は友を呼ぶ" で 『るいとも』ってタイトルとアドレスruitomoを作った。うーーん、なんか違う。友を呼びたいのか思われたら、それは違う・・でボツ。 次に、あっちのブログではebook野郎なんて、読書家と間違われるようなタイトルでやっちまったので、これは 読み物ではない、勝手な"書き物"だなってことで、俺の書き物=『俺書き orekaki』を作ったが、過去の、子供の頃のことを中心に書くのに "俺" は妙だ。 結局、『僕の書き物 bokukaki』で決まった。

40歳過ぎたオッサンが自分のこと(1人称)を 『僕』ってのは、言うのも聞くのも書くのも読むのも違和感がある人にはあると思う。さらに、このブログには、チンコ、ケツの穴、ウンコ的な記事が沢山登場する。 読む人によっては深いに感じるかもだが、閲覧は自己責任でお願いしたい。

「ゲイですか?」「変態ですか?」と問われたら、「はい、そうです。」って答えても問題ない。
昔とは違うのだ。
世間はそう答えられる時代に変わったのだ、こういう個人ブログ書きができる時代に変わったのだ。

ついさっきまで、ebook野郎 ってハンドルネームのままで、このブログを始めることは悩んでいたけど、もういいや、40年も生きてきたんだし。