2013年4月4日木曜日

40歳 ラガー熊 3


 次にラガー熊に出会ったのは9月の中旬過ぎの午後2時頃。夏シーズンが終わり、観光客を見かけなくなり、ただでさえ少ない店の休業が多くなったころだ。 僕は、昼飯を食って、公衆便所でウンコして、その足でオールド・ハリー・ロックまで片道1時間の散歩トレッキングの途中だった。

 このトレッキングは3回目だ。何も考えずに挑戦して色々学習した。靴・服の装備が出来てない人は、来るべきところじゃないってことだ。道は、滑りやすいところには、木の補強階段があるところもあるが、基本的には天然自然の道。見通しが効かない、枝や草むらをかき分けて進まねばならないところや、デカイ水たまりがグチャグチャの泥沼になってたり、あちこち泥濘で滑りやすいし、海と崖の危険境界に全く柵がない。超自己責任な本当のトレッキング道。
 初回半袖ポロシャツ、短パン、スニーカー、デジカメ、弁当・・・という服装・装備で懲りたから、今回は厚手長袖シャツ・動きやすいジーンズ・ブーツ・ペットボトル水のみだ。 もっとちゃんとした服装を揃えたほうがいいと思うが、僕はそこまで・・だし、金もかかるし。遠いところからココに来て、限られた日程でトレッキングする人ではないのだ。 泥濘・雨・風がなければなんとかなるだろうと、その日は快晴、前日も1日中晴れで泥濘も乾いているだろうという日だったから出かけたのだ。

 シーズン中だった初回と違って、全くと言えるほどトレッキングしている人がいない。人がすれ違うのも困難な細い道だから、前方からこちらへ来る人を見かけたり、後方からペースの早い人が来たら、若干広くなってるところを見つけて、道を譲り、相手が通過するまで待たねばならない。先に譲られたら、相手を待たせずに少し急いで通過するのがマナーな気がするのが嫌なのと、すれ違い時に社交辞令的なお礼英会話が発生しそうなのが面倒なのと、すれ違い前後でこちらの前身・背中までずーっと見られてる気がするのが嫌なのと、大概の人が2人とか複数人で行動してるのに僕は1人の変わり者的な目で見られるのがとか・・・色々理由で、僕は、前方に人影らしきを発見したり、周囲から人の気配を感じたら、『譲られる前に譲る!』を心掛けていたのだが。

 あまりに人がいなすぎで、譲ることもなく、サクサク歩き進めるから全く人の気配がわからなかった。 小便をしたくなったので、何でもない繁みをかき分けて数歩進んだら、そこにラガー熊が居て驚いた。尿意が無かったら出会わなかったのに。偶然なのか、運命なのか。

 熊は全裸で仰向け大の字で酔っ払って寝ていた。草むらにバスタオルを敷いた上で日光浴。腰の横には、それまでチンコを隠していたのが、風か寝返りでズレ落ちただろう雑誌がある。その雑誌は僕にもわかる、アダルトのモロ出し写真満載のフリーペーパーだ。頭上には、シャツとラガーパンツとブーツ、それと飲み干したビール瓶が4本転がっていた。

 トレッキング者を妨げるように寝ていたなら、声かけて起こしただろう。でも、彼は繁みの中で普通ならわからないところだ。屋外全裸モロ出しってのも、ここはビーチリゾートだし、誰にも文句言われず誰もが全裸になれるヌーディストビーチも海岸2つ先にあるところだし。気持ち良さそうに寝ているところを邪魔することもない。ズリ落ちた雑誌もそのままに、偶然の出会いを面白いなぁ と思いながら、僕は目的地へ向かった。

 オールド・ハリー・ロックに到着した。絶景だ。断崖絶壁のスゲー場所なのだ。簡単に即死できる場所だと思う。初めて来たときは、こんな恐ろしい場所に誰でも気軽に来れていいの? 柵が全くないってどゆこと?? と変な汗をかいたものだ。

 そんな凄いところに居るのに、、、さっきの熊のことばかり考えてた。

(酔っ払いだし、足を引きずって歩いてるのを見たけど・・あの軽装でアソコまで歩いてくる体力はある人なんだな)
(大自然で素っ裸って、すごく気持ちいんだよな、 ヌーディストビーチとか、色々思い出すな)
(家から30分程度に、素っ裸でゴロ寝できるところが、今はあるんだな・・いや、やっぱ違法か)
(もし、日本の都会で生活しているオバチャンが発見したらどうだろう、即座にスマホで変質者通報してしまうのか?)
(ずーっと日本の都会で生活していたら、まず、出くわさない光景だよな)
(男が発見したら、僕のように素通りするだろうな。でも、デジカメ・スマホを持ってる人だったら盗撮するのだろうか、勝手にネットにアップロード公開なんぞしちまうのだろうか)
(スマホ・・スマホかぁ。 もし、彼が病気や大怪我していたのを発見したときは・・スマホを持ってれば、こんな山道でもGPSで位置情報付で救急通報を出来るのだろうか? 自分に力や知恵はなくとも、スマホさえ持ってれば命を救えることもある時代なのか)
(僕が彼を気にする理由は・・やっぱり父ちゃんに似ているからだな。 僕にとって生理的に嫌なところがない。 もし、どんな小さなものでもタトゥーがあったり、ピアスや変な色の毛染めをしていたり、ブランド服や高価なデジモノを使いこなしているような人だったら、全く関心を持たなかっただろう。乳首に金属や、チンコにリングも・・熊にはなかったし)
(高価なデジモノ? そうだ、もし、彼がそういうものを持ってる雰囲気なら、財布も何もかも盗まれてしまうだろう、ここは日本ではない。)

怪我? 盗み? 大丈夫なのか、熊。 ネガティブ心配思考になると、すごく不安になってしまう僕。

 僕は、熊の居たところに戻ってきた。さっきと変わらず寝ているか、何事もなく帰宅で居なくなってるのかのどちらかであるように、僕自身の胸騒ぎを鎮めるために。


 そぉっと、繁みをかき分け、覗いてみた。
 いた、熊は居た。
 のだが、何か様子が辺。 両ヒザを付いてケツを突き出した四つん這いで、ウーッ と唸ってる。 本当に動物の熊のようだ。

 「アーユー、オーケィ?」
 僕は自然に聞いてしまったら、熊 オワッ、ワワッ な慌てぶりで、両手でチンコを隠し、目の前に落ちてるエロ雑誌に気が付いて、それをサッと拾い背中の後ろに隠して、また両手でチンコを隠して恥ずかしそうに俯いてしまった。 (こんなデカイ体なのに・・、僕に今さらチンコ隠しても・・なんだけど、そういう人だから僕は興味を引いたのだと思う)
 熊が、こんなところで素っ裸でいることを僕が咎めると思ったようだったので、
「いや、いや、そうじゃない、それは問題ないんだ。 だけど、あなたが何か苦しそうだったので・・、腹が痛いのかい? 何かトラブルかい? (英語)」 と聞いた。
 熊が恥ずかしそうにボソボソ答えた。
「マイ、バム・・・・ 俺の・・ケツ、ケツが、痛くて、痛くて、痒いんだ。日光消毒すれば治るだろうと思って、ケツ穴を太陽に向けてたんだ」
 僕は英語リスニングがすごく苦手なうえ、彼の英語がボソボソ喋りなのと、アクセント?が変なのでわかりにくかったけど、そう、言ってると聞き取った。

 僕は思い出した。父ちゃんも昔、同じことやってた。思い出したら可笑しくなって、僕はニヤッと笑ってしまったようだ。それに気づいた熊が
「なんだ、俺は病気なんだぞっ! 冷やかしか、俺をからかってるなら、どっか行ってくれ、すぐに!」
「ごめん。からかってるんじゃないよ。 笑っちゃったのはごめん。本当にごめん。ただ、以前、僕の父がね、同じことをやっていたんだ。ケツの穴が痛くて痒くて日光にケツの穴を開いててね。」
「お前の父ちゃん?」
「そう、僕の父ちゃん。 痒さや、痛みは、たぶん、痔だと思うよ。 日光で少し治まるかもしれないけど、悪化する前に医者に診てもらったほうがいいよ。 立ったり、歩いたり、痛みで寝ることも出来なくなる、手遅れの前にね」
「・・・俺は・・・俺は、医者は嫌いなんだ。 大嫌いなんだ。 それに・・ケツ穴だぞ、恥ずかしいじゃねーか」
「それはわかるよ。僕も痔で医者行ってケツ穴見せたときは恥ずかしかったけど、相手は医者だし毎日沢山のケツ穴見てる人だし、適切なアドバイスして薬も出してくれるよ。いつまでも1人で痛みと戦い続けるよりは、ちょっと恥ずかしい思いするけど治るほうがいいよ」
「だけどよ・・」
と言って、背中に隠したエロ雑誌を取り出しながら、あるページを開いて僕に差出し、
「こんなのだぞ、お前もこんなの・・・されたのか?」
それは、かなりボロボロのエロフリーペーパー(アダルト広告満載無料情報誌)だった。熊が指し示すところは、男がケツの穴を広げているところを、3人の看護婦が嘲笑しながら見ている写真。僕はまた笑ってしまった。
「笑っちゃってごめん。 これは医者じゃないよ。 プレイなんだ。 んーと、アダルトビジネス。看護婦の格好をしたスケベな女に、まぁ、色々見られたり、されたりするのが好きで興奮する人向けの、アダルトサービスビジネスの広告だよ。 こんな医者は実際にはないよ」
「・・・そうなのか、これは医者じゃねーのか」


「それとさ、僕は、あなたを何度か町で見かけたことがあるんだ。あなたは、こうやって、パンツに手を入れて歩いてたよね」
「・・ああ」
「もしかして、ケツ穴だけじゃなくて、キンタマも痛いんじゃないの?」
「・・時々な、痛くなるんだ、なんでわかったんだ?」
「やっぱり。 肩が痛い人は肩を押さえてるし、歯が痛い人は頬を押さえてるのと同じだよ。 あなたの、その大きくて立派なキンタマは、もしかしたら脱調(ヘルニア)って病気かもしれないよ。医者でキンタマも見てもらったほうがいいよ」
「俺のキンタマが病気?」
「かもしれないってこと。 イギリスは日本とか他の国と違って、診察は無料でしょ。タダなんだから見てもらったら?」
「おまえ、日本人なのか?」
「そうだよ」
「・・・そうか、俺はスコティッシュだ」
(どうも熊の英語が聞き取りにくい理由がわかった。イギリス英語とちょっと違うし、 時々彼が "アイ"って言ってたのは、 I=私 の意味じゃなくて、Aye=イエス=アイアイサーのアイ の意味だったのだ)
「ジャップ、オメーは、俺に、医者にケツ穴とキンタマを見せてこい って言ってるんだな?」
(彼は、僕をジャップと言った。侮蔑的には聞こえなかったので、気にしないことにした)
「そう、僕はあなたが心配で言ってるんだ」
「それならよ・・・・」
(と、熊が黙ってしまったので、恥ずかしいから、一緒に医者に行ってくれ って言われるだと思ったし、それ言われたら、どう返事しようかも迷ってた)
「それならよ・・・、ちょっと、俺のケツ穴見てくれねーか? 自分じゃ見れねーからな、痔じゃねーかもしれねーだろ?」
(なんだ、そんなことか・・)
「いいよ、僕が知ってる痔の症状に似ているか見ればいいんだね」
(と言ったら、熊はゴソゴソとケツをこちらに突き出そうとしたのだが・・)
「ちょっと待ってくれ。 俺のケツ穴は臭くてキタネーから見せるのが恥ずかしい。ジャップが本当に俺のこと心配してるなら、ジャップのケツ穴とキンタマを先に俺に見せろ」
「え? え?? 僕のケツ穴を見せろって言った?」
「ああ。 俺が心配なら問題ないだろ?」
「・・・・・うーん。わかったよ、僕のを見せるけどさ、絶対に医者に行くって約束してくれよ。」
「Aye! (Yes!)」
 僕がブーツを脱いだら、熊にココに来いと、熊の寝ていたバスタオル招かれた。座ってる熊の顔の前で、僕はジーパン、パンツをモソモソと脱いだ。

「僕のチンコは、ジャパニーズサイズだから小さいんだ・・ケツもさっきウンコしたから臭くて汚いよ・・」
「問題ない、気にするな。・・・ ジャップのチンコは、こんな真っ黒い毛なんだな、初めて見た」
「そうだよ、髪の毛と同じだよ」
熊は珍しいものを触るように、僕のチンコを撫で触った。僕のキンタマを2本指で少し力を入れて握って
「こうやって、痛くねーか?」 と聞かれたので
「痛くないよ」と答えた。
「俺のキンタマは病気なのかな 10年以上、SEXしてねーんだけどな」
「性病じゃないよ。 ケツ穴の痔もね。珍しい病気じゃないし、ウイルス感染の病気でもないよ。キンタマが痛いのは、内臓が体からキンタマ袋に下がって来てるんだ。だからキンタマ袋が大きくなるし、キンタマに圧力かかってるんだと思うよ」と、僕は自分のキンタマを引っ張りながら、なんとか説明した。
「ありがとな、 キンタマが病気だとは思わなかったぜ。 よし、次はジャップのケツ穴見せてくれ」
 僕が四つん這いになって、ケツ穴を広げて見せると、
「おー、臭せーな、ウンコついてるぞ、ケツの毛も黒いんだな・・ こここうやって、触って痛くねーか?」
と、言われ放題、聞かれ放題、触られ放題だ。 チンコの時より随分長く観察された。
「僕が医者に診てもらってっるようだな。 ドクター、どうだい僕のケツ穴は大丈夫かい?」
と、一応、ジョーク交じりに聞いたら、
「クセーのと、ちょっとウンコ付いてる以外は、普通なんだろうな」 と言われた。 僕は自分のチンコが勃起しかけてるのに気が付いた、恥ずかしい。

 今度は、熊が四つん這いになって、僕に大きなケツを突き出して、大きな両手でガバっとケツ穴を開いた。
「よーく見てくれよ。 痛てえけど、俺は医者に行きたくねんだ」
 熊の毛だらけのケツが開かれて、赤くて・黒くて、グロなケツ穴が開かれて、僕は言葉を失ってしまった。メチャメチャクサい、ケツ穴がウンコと血と汗でグチャグチャになっている・・・ウワッ! もしかしてコレは・・、まいった・・・想定外の惨状だったのだ。
 これをどうやって説明したらいいのか・・。

「・・・どした?」と熊。
「うん・・・すごく、すごく汚くて臭いのだけど・・、風呂かシャワーはいつ? 昨日? 今日?」
「シャワーはおとといの朝だ」
「・・・今日、ウンコした?」
「ウンコもおとといの朝だ、ケツ穴が痛くてできねえんだ」
「・・・」
「・・・どうした?」
「・・・あのさ、キレイにしないと良くわからないから、コレで洗うけどいい?」 と、僕は持参のペットボトル水を見せて、了解を得て熊にケツ穴を突き出させたまま、患部に刺激を与えないように、水をかけながら指で熊のケツ穴の惨状を水で流した。 そう、思いたくはないが・・・アレも混ざってるような気がする。
「コレ、今朝から穿いてるのだけど、これで拭くけどいい?」と、僕は熊に了解を得て、僕の穿いてたニットパンツで熊のケツ穴を、そおっと拭いた・・が、最も、僕の目の前から消えて欲しいものは消えず、さっきよりハッキリと露わになってしまった。まいったな。。すげーまいった。
「汚ねえの洗ってくれてサンキューな」
熊が喜んでくれてる・・まいったな。まだ酔っ払っているのだろうか。この熊は本当に何もわかってないのだろうか。

「・・・いつ、・・いつからケツ穴が痛いの?」
「昨日の朝、起きてからだ。 痛くて起きたかもしれねえ」
「・・・おととい、シャワー浴びてから、昨日の朝までのこと何か覚えてる?」
「・・・うーーん」
「じゃあ、おとといの昼・・・夜かな、酒を飲んだ?」
「・・・ああ、飲んだ。夜な、外で若い兄ちゃんがウイスキーをくれたんで、一緒に飲んだ」
「え?・・・その人は知り合いなの? 飲んでた時のこと覚えてる?」
「わからねえ、ヤツには前にも会ったかもな。 俺はあの晩も酔っ払ってすぐ寝ちまったから、酒貰って飲んだことしか覚えてねえんだ」
「・・・こういうケツ穴の痛み、以前にも経験したことある?」
「ねえ。 初めてだ。 自分で見えねえしよ、何で痛てえのか、サッパリわからねえしよ。」
「・・・・・・・・」
「・・・どうした?」
「う、うん。 あなたのケツ穴の皮膚が切れて出血している」
「血か?」
「そう、血がでている」
「だから痛てえのか」
「そう。これは痔の症状で、色々原因があるけど、ストレスや酒を飲みすぎたり、便秘で固いウンコしたときに皮膚が切れるとかなんだけども・・・・あなたのケツが痛い原因は痔だけじゃないんだ」
「何? 何て言った?」
「・・・ハッキリ言うよ。 あなたは、おとといの夜、一緒に酒を飲んだ兄ちゃんにファックされたんだよ」
「ファックって、ファックユーのあれか?」
「そう。 あなたが寝ている間に、その兄ちゃんが、あなたのケツ穴にチンコを突っ込んでセックスしたんだ」
「・・・」
「あなたのケツ穴は普通じゃないんだ。ここ、普通は体の中にあるケツ穴の肉が飛び出しているし、こういうところの皮膚がね、擦られたような傷があってが赤く擦れている。無理やりケツ穴から体に入れられたような痛みだと感じない?」」
「・・・Aye・・・」
「・・・あなたはレイプされたんだ。」
「・・・俺のケツ穴でセックス? レイプ・・だと? アナルはプッシーじゃ、ねーぞ。ウンコの穴だぞ」

 僕より年上なのに・・こういう人がいるとは・・まいった。感染病のことを伝えて、絶対に医者へ行かせないと・・。

「アナルセックスって言うんだよ。男が女のアナルにチンコ入れることもあるし、男が男のアナルにチンコいれてセックスすることもある」
「ケツの穴で興奮するのか? 勃起するのか? そんなわけねーだろ」
「そういう人も居るんだよ。・・・・・・あのさ、ちょっとこれ見て」
と、僕は四つん這いの熊から見えないように隠していた僕の半勃起チンコを見せた。
「お? おめーー・・」
「ごめん。本当にごめん、申し訳ない、こんなときに。恥ずかしいけどさ、僕は、あなたのケツを見て、ケツを触って勃起してるんだ、興奮しているんだ、あなたの大きなケツがセクシーだから。」
「ワハハ。。俺のケツがセクシーか。・・・・だから、俺のケツ穴が痛てえんだな」
(全く笑えない冗談だ。セクシーは不謹慎発言だった)
僕が言葉を失っていると、
「ジャップ、オメーは気にするなよ。 でもよ・・こっちのノーティボーイは・・全くノーティだ!」
と僕のチンコをグイと握った。
「ジャップ、俺の名前は ダンカンだ。 ダンカンはウォーリアなんだぞ。 強い男だぞ。だけど、俺は男にファックされたセクシーなデカイケツのウォーリアだ。」
(気持ちは察するけど、こういう自虐ジョークは困る・・)
「ダンカン、僕は・・・僕が言えることは、必ず、必ず、医者に行って欲しい ってことと、 酒は飲むなとは言わないけど本当に危険だから控えて欲しい、ということだけだよ」
「・・・Aye、アドバイスありがとな」
「絶対に、医者に、正直に伝えなきゃだめだよ。寝ている間に男にアナルセックスされたって。」
「・・・Aye、わかったさ」
「・・・・」
「・・・・」

 僕が立ち上がろうとすると、熊が言った。
「ジャップ、俺はよ、どうして俺がレイプされたのかがわからねーんだ」
「何もわからないほど酔っ払って外で寝てたからだよ」
「だけどよ、酔っ払いが寝てたからって、俺のケツ穴なんかでセックスしようと思わねーだろ」
「だから、ダンカンは、、あなたはセクシーなんだよ。あなたがそう思わなくても、あなたとセックスしたいと思う人、男も女も広い世の中にはいっぱいいるんだよ。 ・・・僕も勃起してるだろ。」
「ジャップ、オメーは、俺みてーな男のケツが好きなのか?」
「・・・たぶん、そうだよ。 そうだって、僕のチンコが言ってる」
「・・・・」
「・・・・」
「もう一度俺に見せろ! ジャップ、オメーのケツ穴、もう一度見せろ?」
「え?」
「俺は自分で確かめてえんだ。男が男のケツ穴見て興奮するのか、何で俺がレイプされたのか?」
「・・・もう一度ケツを見せるのは構わないけど・・、ダンカンの好みの女と同じで、好みが合わなけりゃ興奮しないよ。わかるだろ」
「いいから、ここに寝て、オレにジャップのケツ穴見せてくれ、そしたら、明日、必ず、俺は医者に行くぞ。明日って約束するぞ。いつか、 じゃねーぞ」
「わかったよ・・、明日だね。必ずだね。約束だね」

 僕は、病気の話をどう熊に伝えようか悩んでた。でも、明日必ず医者に行ってくれると言ってるのだ、気のすむようにしてやろう。僕が、またバスタオルの上で四つん這いになってケツ穴を開こうとすると、熊は
「そーじゃねー、逆だ」
と言って、僕は仰向けにされたかと思ったら、足を持たれてオムツ替えの姿勢にされてしまった。きっと、熊の好みのセックス体位なのだろう。僕は自分で自分のヒザ裏を抱えるように持たされた。熊の中腰の太ももが、僕の背中にあてがわれた。僕のチンコと、僕のケツ穴を見ている熊の真面目で真剣なコワイ顔と、青空が見える。僕は目を閉じた。
 熊の鼻息が聞こえる。 熊は僕のケツ穴を観察し、ケツ穴と、チンコとをいじっている。たぶん、熊自身のチンコもいじっているのだろう。 熊への恥ずかしさはなかったけど、正直、最初は少し思った。 ここは公共の屋外だ、こんな姿を人に見られたら、どう説明するのか。 でも熊の心情を考え始めたら・・そればかりが頭の中を巡ってた。

 熊はレイプされたのだ。 レイプを知らなかった熊。 無防備すぎた熊。 男が男とセックスすることを知らなかった熊。 痔も知らなかった熊。日本人の僕にレイプだと指摘された熊。 アナルセックスという行為を知らされた熊。 交友関係が極端に少ないだろう熊。 知らないことが多すぎだった熊。 信じたくないけど、信じて理解しなければならない熊。 恥ずかしいけど、大嫌いな医者に行かねばならない熊。 医者に様々なことを聞かれ、説教されるだろう熊。 そして病気のことについて、現実について理解させられる熊。僕より遥かに年上なのに。ゲイが多い国に住んでるのに・・。

「オーケイ、ジャップ見てくれ」
 熊の声で僕は目を開けた。10分程度だったのかもしれない。長くも短くも感じない時間だった。

熊の顔を見て、熊の目線の先を見たら、 熊のチンコは勃起してた。 勃起して射精が終わったところだった。バスタオルにたっぷりの精液が溜まってた。 僕自身、現実で何が起こってるのか、ちょっとわからない状態だった。 僕は、考え事をすると、周囲の状況も、聞こえるてる音も気配もわからなくなってしまう・・。子供の時から変わってないようだ。熊のオナニー行為に全く気がつかなかった。

熊が言った。
「男のケツ穴で興奮するってがわかったぜ。 俺もジャップのケツ穴にチンボ入れたくなった、チンコがジャップの糞まみれになっても入れたいと思った、けどガマンしたぞ。 俺のケツも、ジャップのケツみてーに、セクシーなんだな。 だからやられんだ。」
「・・・ダンカン、すごい量、出したね。 気持ちよかったのかい?」
「ああ、気持ちよかった。 ケツ穴が痛くなければ、もっと出してたぜ」
「 ・・・・明日、医者に・・」
「Aye! 俺は行くよ、約束だ!」

射精終わって、気持ち良さそうで嬉しそうな熊は、そこにあった、さっき熊のケツ穴を拭いた僕のパンツで自分の精液を拭き始めたことに気が付き、僕に謝りながらも、、とても嬉しそうだ。

「ごめん。悪かった。 ジャップのパンツで俺のスープを拭いちまった・・・このパンツ、俺が貰ってもいいか?」
「いいよ。 ・・ 最後はちゃんとゴミ箱に捨ててね」
「サンキュー、 色々、 沢山、サンキューな。 ジャップ、オメーも気を付けろよ 」
「じゃ・・Bye!」
と言って、僕はジーパンを穿き、熊と別れた。

病気のことをわかってないからなんだろう。自分のケツの惨状を見てないからなのだろう。 色々知らなすぎるから、ケツの痛みを、ケツにチンコ突っ込まれた痛みをハチに刺されたくらいにしか思ってないのかもしれない。

もし、僕が今日デジカメを持ってきていたら? もし僕がカメラ付きスマホを持っていたら。 熊のケツ穴を撮影して画面で見せてたかもしれない、そしたら・・今のように、明るく分れることが出来ただろうか。 知りすぎるのも、知らなすぎるのも・・・ってことだ。

僕が熊にしてあげられたことは何だったのだろう。 あれもするべきだった、これも伝えるべきだったとか、後悔始めたらキリがない。 今日の出会いから、別れまで・・サンキューって言ってくれたんだから、約束してくれたのだからいいじゃないか。

熊は明日、医者に行くだろう。でも、医者嫌いの熊が、この町で主治医登録をしてないなら、登録からで、ちょっと大変だろう。性病検査は大きな町の大病院まで行かねばならない気がする。ちゃんと、数回、医者に行ってくれるだろうか。痔はどうなんだろう、何か薬を処方されるのかな。 いずれにせよ、僕も熊もこの町に住んでいるんだ、また、会うだろう。

最後に『気を付けろよ』 って言ってたのは・・、『オメーもセクシーなケツだから』の意味じゃなくて、『オメーも知らねえ人である俺のビールを飲んだのだから』 の意味だったのかも。 ビールの時も、便所のときのことも僕を覚えているんだろうか・・・

ダンカン、ウォーリアの強い男のダンカン。

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