2013年4月2日火曜日

40歳 ラガー熊 2


 数日後、ラガー熊を見かけた。僕がスーパーから出てきて海を見ながら家に帰ろうとしていたとき、反対側歩道を海の方へ、足を少し引きずってゆっくり歩いてた。酒瓶は持ってない、が、左手はまたラガーパンツの中だ。

 熊と話をしたい、熊と仲良くなりたい、お近づきになりたいわけではない、、のだが、何か気になるのだ。 僕は、熊の背中をのんびり見ていた。 ラガーパンツがずり下がって毛深いケツが四分の一露出している。

 今の日本ではどうかわからないけど、イギリスの観光地ではない郊外、住宅街ではケツを出している男をよく見かける。 5、6年前は町中で突然、生ケツを見るのはカルチャーショックっていうか驚いたものだが、もう慣れた。ジーンズなどウエストの緩いズボンをベルトをせずに穿く。住宅建築や道路工事の現場作業員に、かなり多い。家で全裸で過ごしている人も多く、その延長なのかパンツ(下着・アンダーウェア)を穿いてない人も結構多い。しゃがんだ姿勢での作業ではケツが半分ほど露出する。こちらを向いて、両腕を上に伸ばして木材を下から押し上げたり、支えたりしている人は、チン毛は全部、竿の半分ほどが、そこそこの時間露出するのだ。スーパー店内で冷凍食品の棚から買いたいものを取るのに、棚と自分の間で、穴が見えそうなほど露出させての、のんびり店員のケツ出し品出し作業を待ったことも数度ある。テレビ放送では、性教育・性医学番組ではチンコも女性器もケツの穴もモザイクぼかし無しの完全露出だし、ロンドンでは町中を自転車で全裸で走る大イベントもある。イギリスってそういう国だ。もちろん、ネット検索すれば、男女全裸・性器画像も動画もいくらも見放題の時代なのだが・・・

 老人の多いこの町中で、日中、ケツを出して歩いているラガー熊に、町の人はどう反応するのか・・を確かめたかったのもあるが、本音を言えば、僕はデカイ男のデカイケツに興味ある。だから見ていたのだ。

 熊が町の人、オバチャン、オジチャン、オバアチャン、オジイチャンとすれ違う。嫌な反応をする人はいない。むしろ、ハーイ、ハイアーユー? なんて、好意的に気軽に挨拶する人もいる。熊のケツ出しを見て嬉しく笑うオバアチャンもいた。熊はちょっと照れくさいみたいだ。
 この町の人は優しくて親切で好意的な人が多い。明らかに人種違いの僕にも躊躇なく気軽に話かけてくる。以前、日本の山間部の閉鎖的で老人の多い田舎町に住んでいたことがあるが、ここは海があって開放的で、かつイギリスだからか、全く人々のコミュニケーション、気安さ、気配りが違う。
 日本に当たりまえにあるものは無いけど、日本に無いものがこの町にはある。
 熊がこの町に、おそらくスーパー・海の近隣に住んでいることも、挨拶の様子からなんとなくわかった。

 ちょっとだらしない、が、普通に皆から受け入られる町、いい町だと思う。

 熊が海岸沿いを歩くと、白人ではない観光で来ただろう若者男女が7人いた。熊を大げさに嘲笑している。熊が通り過ぎると、熊の背中を指さして大笑いし、熊を真似てパンツに手を突っ込みケツをちょっと出して腹を抱えて大笑いしている。 僕は嫌な気分になった。



 次に熊にあったのは、そのまた数日後だ。
 夜7時頃、僕はウンコするために散歩に出た。僕は、子供の頃からキレイで静かな公衆便所でウンコするのが好きで、デパート、ホームセンター、図書館などにウンコ目的に出向いていた。それも大人になっても変わらない。ウンコの、後、先の違いはあるけど、ウンコして散歩して帰ってくるのだ。年中便秘がち体質だけど、家より公衆便所のほうが出やすいから。 ここは一応マリンリゾートなので、新居から徒歩数分圏に公衆便所がいくつかある。家が1階で玄関ドア出て5メートル歩いてドア開けたら、もう外、そこからちょっと歩けば海岸という、階段昇降や共有スペースなどの無駄歩きが全くない気軽さで、大雨、大風ならなおさら公衆便所に行くから1日中家から出ないことが、まずない。

 海岸沿いの男便所に来た。キレイと言っても、日本の超清潔・超豪華ウォシュレット付とは全く違う次元だが、悪臭が無く、狭くなく、毎日清掃されてケツ拭き紙もたっぷり補充されていて、便器もドアも、ドア鍵も破壊されてなくて、無料で利用でき、静かで安全な便所だ。

 この便所は24時間オープンではない。夜8時には施錠され入場できなくなるのだ。夜7時、風がでてきて少し寒くなり、便所の外にも中にも全く人の気配がない、波音だけが聞こえる、僕にはベストのウンコ環境だった。

 今日はどの個室にしようかちょっと考え、ドアを押したら、そこに素っ裸の大男が居てぶったまげた。

 大男、毛だらけの背中、デカイケツ、裸。 ケツを突き出すように、こちらのドア側に向けて、便座の後ろの水タンクに腕まくらでの逆座りで、ンゴンゴ鼾をかきながら寝ている。横顔見て、それが熊だとわかった。

 ウンコ最中のドアを開けたことも、開けられた経験ももちろんあるのだけど、こういう状況は・・あぁ、昔もあったな・・と思った。

 どうするべきか、ちょっと悩んだ。このままにしておいても、あと1時間もすれば施錠のために誰かくるのだし、殺人・親父狩り・強姦的な事件でもない、酔っ払いが便所で裸で寝ているだけなのだ。 だけど、なんかほっとけない。 施錠時間までに先日の嘲笑バカ若者のような輩が来るかもしれないし、施錠のオバサンか誰かに、うんざりするほど小言を言われるのかもしれない。僕が起こしてあげれば、最悪の目覚めよりは、大分良いのではないか。
 僕は、全裸熊の個室に入り肩を軽く叩いて、起きて、ここで寝ちゃだめだよ(英語)と伝えたらムニャムニャと体を起こしたので、個室を出てドアを閉めた。中でガサゴソ音がしてる、もうだいじょうぶだろう。

 僕は隣の隣の個室に入って、自分の用を足そうとパンツを下して便座に座ったのだが、、当然、ウンコなんか出やしない、小便も出ない。便意が完全になくなってしまった。『もうちょっと、熊のケツ見てればよかったな・・・いやいや、それは人間としてやっちゃいけない行為だ!』なんて思いつつ、今夜のウンコは諦めて家に帰ろうと思いパンツを穿こうとして気が付いた。僕の便器の後横に、脱ぎ捨てた、ブーツとラガーパンツがあるのだ。え?? そこにそれがある意味はわからないが、それが誰のものかはわかる。急いでパンツとジーンズを穿き、ドアを出て、熊の個室をノックした。ノックの返答がない・・。素っ裸で外歩いてるのか? もしやと思って、そっとドアを押し開けたら、うわっ! いた、全裸のままいた。

今度はさっきの逆。チンコ丸出し。こちら向きで正常座り方向ではあるが・・浅く、大股開きで、デカイキンタマと太いチンコをこちらへ突き出すように、全裸でそっくり返って、鼾をかいて寝てるのだ。
エクスキューズミー、ウェイクアップ! って何度も、大きめに耳元で言ってみたが、ムニャムニャ言って、ちょっと起きてはまた寝てしまうの繰り返し。

 のんきな寝っぷりが、ちょっと面白くて笑ってしまった。


『こういう状況も、昔あったな』 とまた思った。 しかし、その時今では人間関係が違うのだ。

介護で大・小便を手伝った経験がある
飲み会の3次会後に泥酔した先輩を肩で支えながら小便させた経験もあるし、
便所からなかなか戻らない先輩の様子を見に行ったら大便しながら寝ていたし、
泥酔した親友でも経験あり、独身寮に住んでた時は、泥酔で私の部屋内で小便しようとした先輩を便所につれていった

もっと若いときにも・・

僕は泥酔者の大・小便と縁があるのだろうか・・と思ったけど、居酒屋や料亭の店員はもっと大変なんだろうな、ゲロ掃除などもあったりするのか。


 なんて考えながら、熊の足を片方ずつ持ち上げ、ラガーパンツを通し、ブーツを穿かせた。和式便所でなくてよかった。長ズボンじゃなくてよかった。下着パンツも無い分ラク・・とか思いつつ、僕の頭を熊のワキの下に入れて立ち上がらせたら便器にウンコがあった。そうだ、ここはウンコを出すところなのだ。ウンコを見てから匂いに気がついた・・・。個室の中でデカイオッサン二人・・どうにも狭いから、熊のラガーパンツを膝で止めたままドアの外になんとか運び出し、ドアの外で熊のケツの穴をなんとか拭いた。 ラガーパンツを穿かせる際に、デカイキンタマと太いチンコを収めるのにかなり苦労した。あんなことを、あんなにされたら、僕は完全勃起以上になってしまうだろう。

熊を便所の外のベンチに座らせた。 シャツは無いから上半身裸だ。あとは誰かが起こしてくれるなり、酔いが覚めたら自分で帰るだろう。ここまでやったのだから、もう、いいだろう。 それにしても、気持ちよさそうに寝ている。こっちは汗だくだ、自分のウンコ出せず、他人のウンコ処理をするとは。

家に戻って、ちょっと考えた。 熊はいつも、ああなのだろうか? やっぱり、アルコール中毒なのだろうか? 近所に住んでるってことは、いつかまた彼の酒を飲むこともあるのだろうか? 僕はなぜ、彼が気になるのだろうか・・。

 結局僕は・・父離れできてない、40歳になっても、ファザーコンプレックスなのだ。

とか、1時間程考えてから気がついた、、あ、僕はまだ手を洗ってなかった・・。

ビールの間接キスの後、素っ裸見て、ウンコ見て、ケツの穴拭いて、パンツを穿かせるのにチンコさわりまくって、、なんなんだよ、おい。

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